アップリケエプロンの主役たち②:世界で愛される柴犬のヒミツ
「社交的」「積極的」「アクティブ」「寂しがり屋」の一面があるといわれるイヌ好きの人。前回のネコに続いて今回は、イヌの世界に深入りしてみましょう。イヌは、ネコに比べると、際立つのが種類の多さと、個体の大きさの違いです。ネコの種類は、約50種に対して、イヌは、公認されているものだけで355種類とされています。
チワワなどの小型犬からゴールデンレトリバー等の大型犬まで、見た目や性格も千差万別です。その為、前半はイヌ全般のランダムな話題とし、
後半は、「柴犬のアップリケエプロン」から、柴犬に登場してもらい、なぜ世界からも柴犬が愛されるようになったのか、掘り下げていきましょう。(”イヌ”と”犬”の用法の違いは、諸説ありますが、ここでは特に区別していません)
Ⅰ イヌ、あれこれ
日本人とイヌ
イヌは、人間が初めて家畜として飼育した動物で、石器時代(約1万2000年前~3万年前)に飼育が始まったと言われています。日本犬と呼ばれるのは、秋田犬、紀州犬、柴犬、四国犬、北海道犬の6種類で、国の天然記念物に指定されています。その祖先は1万年以上前に南方アジアから縄文人とともに渡来したと考えられています。
洋犬に比べても警戒心が強く、飼い主さんにのみ従順に従う武士のような気質を持っているイヌが多いことが特徴です。この6犬種の呼び方は、○○けんではなく、○○いぬと呼ばれますが、甲斐犬だけは、“けん”と呼ばれていますが、その理由はわかりますか? 正解は、“いぬ”と呼ぶと、“飼い犬”とまぎらわしくなることです。
この他に外来の犬たちとの交配などで作られた日本原産のイヌとして、朕、土佐闘犬、日本テリア、日本スピッツなどを日本犬に加える場合もあります
いずれにしても、人間の最良の友と言われ、最も忠実なパートナーともされる犬。彼らがいつごろ日本列島にやって来たのかは、明確ではありませんが、前述のように、縄文時代にはすでに私たちの先祖と一緒に暮らしていたことが確認されています。
そして日本人と犬は、長い歴史の中で深い結びつきを育んできました。犬は、今も狩猟や番犬、ペットなど、さまざまな役割を担っています。
犬の数え方
犬の数え方としては、匹と頭がありますが、
- 小型犬や中型犬など、人間が抱きかかえられるサイズの犬を数える場合は「匹」で数える。
- 抱きかかえられないサイズの大型犬や超大型犬を数える際は「頭」で数える。
- (例外)抱きかかえられるサイズである小型犬や中型犬でも、盲導犬・警察犬・介助犬・聴導犬など、人間によって特別な訓練を受けた使役犬はすべて「頭」で数える。
上記のような、大まかな基準があるそうですが、ニュースで報道されるような場合を別にして、わたし達は、ふだんはあまり気にしないで使っているようです。
犬の4大感情
犬の4大感情は「喜び」「怒り」「安心」「恐怖」です。これらの感情は犬の示す感情の中でも分かりやすく表れやすく、犬の気持ちに寄り添うことで信頼関係を深めることができます。ちなみに、人間の感情は、一般的に「喜び」「怒り」「悲しみ」「不安」などの基本感情が認められており、これらも4大感情と呼ばれています。
違っているのは、犬の「安心」「恐怖」に対して、人の「悲しみ」「不安」といったところでしょうか。犬の場合は具体的で、直接的なことに対して起こる勘定に対して、人の場合は抽象的で漠然としたものも含まれ、複雑です。
犬がしっぽをふる理由は、色々あるようですが、例えば、散歩中、出会った犬同士で、あいさつを交わすときは、友好のサインとしてしっぽを左右に小さくフリフリと振ります。ところが、見知らぬ犬など脅威と感じるものを見つけ興奮しているときにも尻尾を振ります。
相手が強そうで、弱気になってくると尻尾は徐々に下がり、最終的に怖い、逃げたいという気持ちになると尻尾を足の間に巻き込み接触を避ける気配を見せます。
しかし、飼い主と一緒だと、虚勢をはり、吠え掛かる犬もいます。しかも、いつもの散歩コースならば、自分の縄張り意識があり、半ば本能的に反応してしまいます。また、しっぽは、健康状態が悪い時にもが下がりますので、気を付けましょう。
嬉しそうな顔をしているのに
表情が豊かな動物である犬は、嬉しいときに笑顔を見せることがあります。しかし、人間が単純に「嬉しそうな顔」と思っているその表情の裏には、思わぬ犬の気持ちが隠されていることもあり、気をつけましょう。 犬は緊張していると目を細めることがあります。
犬の世界では威嚇する際に相手を見つめ、敵意がないことを伝える際には目を逸らして近づくというルールがあります。近づいてくる、他の犬や人が怖いと感じたときなどには目を細め、自分を落ち着かせようとします。その表情は、時として、嬉しそうな顔に見間違えることがあります。
また、緊張している相手にも目を細め、敵意がないと伝えることがあります。初対面の犬や子犬を相手にしたときに目を細めていたら、その時の犬は穏やかで、微笑んでいるのでしょう。
口角が上がって柔らかい表情の時もあります。尻尾が上がって勢い良く振り、姿勢は高くなります。こんなときは、本当に嬉しい気持ちでいると信じてもいいでしょう。
あなたは犬にどう思われている?
愛犬は、自分をどう見ているのだろう?又、家族の中で、何番目くらいに見ているのだろう?と考えたことは ありませんか?ひそかに、犬にとって一番は俺だ、とか、私が一番好かれている・・・と思ったりしたことはありませんか? しかし、犬は家族の中で順位付けをしないという考えが今では一般的です。犬は人に対して上下関係や序列をつけるような習慣はなく、飼い主や家族を見て頼れるかどうかが判断基準のようです。
犬が人によって態度を変えるのは、その人の言葉や行動、接し方、愛され方に影響を受けているからで、たとえば、特定の人にだけ懐かない、吠えるなどの態度や行動が見られる場合でも、それは相手に恐怖心や警戒心を感じているがゆえに起こる反応だと考えられています。
このように、「お母さんが1番偉くて、お父さんが2番目」「自分は順位が低いから、言うことを聞いてくれない」などは迷信的な考えというのが主流のようです。
「順位付けしているのでは?」と家族が考えてしまうのは、ワンちゃんの自分たちへの態度にそれぞれ違いがあるからでしょう。良かったこと、良くなかったこと、愛犬はそれをずっと覚えていて、良いことをたくさんしてくれた人を大好きになり、行動に出てくることになります。
一方、イヌの祖先であるオオカミには明確な順位づけがあります。野生の中で生きているオオカミは、生き残るために群れを作ります。群れのトップはアルファ、次はベータ等と呼ばれます。アルファになるオオカミは強いからではなく、アルファについて行くと食事が得られたり危険を回避できたりするからなのだそうです。
また、順位が決まることで、群れの中の無駄な争いを避けられる、などのことにより、野生を生き抜いてきました。このオオカミの「群れのメンバーを順位付けする」という習性が、今を生きるイヌの習性の中にも残っていて、人間の家族の中での順位づけを行うという考え方が生じてしまったものと考えられます。
犬との主従関係がないと・・・
しかし、飼い主側の立場から見れば、愛犬と主従関係を築くことは、しつけを行う上で必要なことです。愛犬をしつける理由は2つあります。1つ目は他の人に迷惑をかけないように人間社会のルールを教えること、2つ目は愛犬の安全の確保です。そのためには、常に愛犬が飼い主さん主導で行動できるよう、飼い主さんが愛犬よりも上の立場にいなければなりません
もし主従関係が逆転してしまった場合、犬は飼い主をリーダーと認識せず、自分がほうが上だと誤解してしまうことがあります。 このような場合、さまざまな問題行動が引き起こされる可能性が高いです。
具体的には、犬がリーダーだと感じると、しばしばマウンティング行動を取るようになります。これは、自分の方が飼い主より上だという優位性を示すための行動であり、犬が自分を群れのリーダーだと考えていることを示します。 こうなると、名前を呼んでも来なかったり、散歩中は、制止を聞かず、自分の行きたい方へぐいぐい引っ張るとか、思うように散歩が出来なくなってしまいます。
無駄吠えや噛みつきなどの攻撃的な行動も、主従関係の逆転が原因となることが多いです。こういったことは、決して許さず、しつけを通じて、飼い主がリーダーであることをしっかり認識させることが重要です。
ついでながら、犬にストレスをためさせないことも重要です。飼い主が家族同士でケンカし、家の雰囲気が常に悪い、とか、飼い主自身がイライラしたり、不安になったりすることが増えたとか、家の中でのしつけのルールが家族によってまちまち(飼い主の気分で叱られたり褒められたりする)などのことがあると犬にもストレスを与えてしまいます。
ストレスは、犬の健康を損なったり、行動異常を引き起こしたりする可能性があります。また、ストレスが原因で胃潰瘍や皮膚炎などの病気の原因にもなります。可愛がりすぎるのも問題ですが、出来るだけストレスの無い環境をつくりは大切です。
犬の住みよい環境に気を配りつつ、まずは、毎日の散歩を引っ張らせない、マウンティングや、むだ吠えはなくすなど、身近なところからしつけを行っていきましょう。何よりも、見ていてカッコいい散歩の姿で、イヌも颯爽としていますね。
犬って音楽が好きなの?
これは、ビクターレコードの、アナログのレコード盤に描かれた、昔懐かしい蓄音機に耳を傾けるイヌの画像です。実は、音楽を聴いているのではないのだそうですが、犬は音楽が好きなようです。好きな音楽は、クラシックやバラードなど、テンポが遅めの曲だといわれています。
特にクラシック音楽には「1/f ゆらぎ」と呼ばれるリズムがあり、小川のせせらぎや小鳥のさえずりなどの自然界のリズムと同様、動物をリラックスさせる効果があります。家畜にクラシック音楽を聞かせると、鶏は卵をたくさん産み、乳牛はミルクをたくさん出すなどの効果があると言われていますが、愛犬と一緒に音楽を楽しみたいのであれば、スローテンポかつ高めの音域が使われたクラシックやバラードを選びましょう。
一方で重低音なヘビーメタルやハードロックなどは、犬が嫌いな音楽とされています。犬の性格によっては、興奮して攻撃的になる可能性もあるため、犬と過ごしている時はなるべく避けましょう。 当然、犬の音楽の好き嫌いには、飼い主様の音楽の好みも影響します。ペットの犬は、飼い主様の表情をよく観察しており、飼い主様が好きな音楽を楽しそうに聴いていると、犬も楽しくなり、リラックスできるのです。
これは、2012年のコロラド州立大学における研究で、クラシック系の音楽を聴いた犬達が落ち着いた様子を見せていた、という結果にも表れています。もし愛犬が精神的に不安定な様子を見せていたら、ヒーリング効果が期待できるクラシック系の音楽を聴かせてみるのも良いでしょう。
また、買い物に出かけて、飼い犬を家に残してゆくときは、留守番中に聴かせて愛犬をリラックスさせる という方法もあります。誰もいない中で留守番をする犬は、少なからず不安な状態になりがちです。飼い主も心配です。
音楽のヒーリング効果を利用して、スローテンポのクラシックやバラードを流してあげることは、犬の気分を落ち着かせ、不安を軽減させることにつながります。
Ⅱ 世界で人気が広がった柴犬:どうして?
柴犬の特徴的な行動は?
柴犬は元々猟犬や番犬として活躍してきた犬種なので、勇敢で警戒心が強く、我慢強い性格をしていますが、自立心が強くベタベタされるのを嫌うため、時には頑固に感じられる場合もあります。 忠誠心も強いので主人に甘える姿もみられますが、それ以外の人には警戒して吠えてしまうケースも多いため、トラブルには要注意です。
柴犬は日本でも人気がありますが、海外でも人気のある犬種です。日本国内では常に人気犬種の上位にランクインしており、海外でも人気が拡大しています。
人気が広がった理由
人気の広がりの理由として、まずはSNSでの拡散が挙げられます。外国人観光客が、日本で撮影した柴犬の動画や画像をネットにアップしたり、日本国内でもインスタやYouTubeで愛犬の動画を紹介したりする人が年々増えていますが、それらの動画を見た海外の反応もブームの大きな要因となっています。
日本の四季や文化的なものは海外でも人気を集めるコンテンツとなっていますが、これらに加えて「日本犬」というコンテンツが、海外の人々にとって目新しく映り、結果として日本の文化や魅力とともに、柴犬の可愛らしさや美しさという魅力も海外の方々に広まったことが、柴犬人気に火がついた理由に挙げられるでしょう。
また、2009年に映画化された「HACHI 約束の犬」も、海外で「日本犬」の人気を集めることに繋がりました。
「忠犬ハチ公」と言えば多くの日本人が知る犬と人との感動物語ですが、1987年に日本で公開された「ハチ公物語」のリメイク作品である「HACHI 約束の犬」は海外でも上映され、日本でも大ヒットを記録しました。 飼い主が亡くなった後も、毎日同じ時間に同じ場所で飼い主の帰りを待っていた「ハチ」の物語で、海外でも大きな反響を呼びました。
柴犬の魅力「サムライ」のような忠実さ
なぜ柴犬が飼い主に忠実な性格なのかというと、原始時代から人間と一緒に暮らし、狩猟犬や番犬として活躍してきた歴史があるからです。愛玩犬として人為的に生み出された犬種では無いので、人間と寄り添って生活してきた長い歴史の中で忠誠心が強くなったと言われています。
そのため、家族に対しては服従し忠実ですが、家族以外の見知らぬ人に対しては警戒心が強く決して従いません。もふもふのしっぽを振り振りしながら、誰彼かまわず近付いていくようなことをしないのが柴犬です。
また、猟犬としての資質から勇敢で自立心が強いために、必要以上に人間にまとわりつかず、ベタベタ甘えてくることのないあっさりした性格で、柴犬を表すことば「ツンデレ」というのがそれをよく表しています。
このように、飼い主に忠実でありながら、適度な距離感を持って暮らせるのも魅力のひとつだととらえられ、人気につながったようです。こういった点が、愛玩犬とは違った魅力としてとらえられたのでしょう。
シャープでクールな見た目
柴犬人気の理由は、その性格だけではなく見た目にもあるようです。日本でも、ペットとして飼うために作られた「愛玩犬」が種類も多く、内外問わず、広く愛されていますが、海外では特に柴犬はオオカミやキツネのような見た目で原始的なイメージが強い点が人気の理由です。
三角形の立ち耳と凜とした顔立ち、切れ長の黒い瞳がとてもシャープでクールな反面、時折見せるにこりと微笑むような愛嬌のある表情や優しいまなざしがとてもかわいらしいことも、柴犬人気の理由のひとつで、海外の人の目にはクールさとかわいらしさを合わせ持った見た目が西洋犬とは違った魅力に映るようです。
また、柴犬は犬独特の体臭が少なく、汚れが付きにくい毛質であることに加えて、きれい好きな性格で室内での排せつを好まない点も自宅で飼いやすい犬だと思われる理由のようです。ちなみに、柴犬の毛色は「赤色」「黒色」「白色」「胡麻色」の4種類です。天然記念物に指定されているので、他の犬種と交配されることはありませんでした。そのため、毛色の種類は他の犬に比べて少なく、4色の中で最も人気が高い赤色は、柴犬の約80%以上を占めています。
赤色といっても、頬、目の上部、胸、腹の部分は白みを帯びているのが特徴的で、全体がキツネのような明るい茶色のことです。海外でも赤色の人気が高く、urufactoryの「柴犬のアップリケエプロン」もこの色の柴犬が登場しています。
どうぞ可愛がってあげてください😊